incongruent decomposition and recombination


ゾーンメルト法とは不純物の多い金属のインゴットから純度の高いインゴットを精製する分離法である。この方法はまず、加熱して融解した相をインゴット中で動かし、加熱する前側の純度の低い部分を溶かす。そして、後に残った純度の高い製品を得る。不純物は溶融部分に集中し、最終的にインゴットの末端に集まる。

ソーン精製法は、トランジスタ製造用の高純度金属材料を準備するためにベル研究所において開発された。最初の使用はゲルマニウムの製造に用いられた。しかし、平衡で固体および液体段階で不純物濃度にかなりの違いがあるどのような溶質‐溶媒系のおいて応用することが可能である。

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他に関連するプロセスにゾーン再メルト法がある。これは複数の溶質を純粋金属にそれぞれ分布させる方法である。これは半導体製造に重要であり、異なる伝導率の複数の溶質が使用される。ゲルマニウムにおいて、V族のアンチモンや砒素など5価の元素は負(n型)の伝導をもたらす。そして、アルミニウムやホウ素のようなIII族の3価の元素は正(p型)の伝導をもたらす。そのようなインゴットで、ゆっくり再冷却している部分を溶かすことにより、加熱した帯域の中の溶質は分配される。結果、望ましいn-pとNP接合を作る。

  • ingot


【名-1】 インゴット、鋳塊◆融液から凝固した固体のこと。
【名-2】 《電》半導体の(ほぼ円柱形の)固まり◆インゴットを薄く切り取ったウエハー(wafer)は半導体素子の製造素材


物が熱を受けて液体になること。
焼却灰、無機性汚泥などを1400℃以上に保つと、製鉄所の高炉のようにノロ状に溶融する。それはガラス質がカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄などとともに融合し、同時に共存していたクロム、ニッケルなどの非鉄金属もケイ酸と結合した安定な物質に変わる。その溶融を容易にするために、石灰などをフラックスという溶融促進剤として添加することもある。これら溶融物は高炉スラグでの水滓や徐冷却滓のようにして、無害な骨材などに利用することができる。しかし、この溶融に際して、一部の鉛、水銀、カドミウム亜鉛などが水蒸気化することは避けられず、その捕集、安全化が必要となる。

  • 物質の性質と変化
    • 化学変化・物理変化・状態変化

この世に存在する物質の性質とその変化は、古代ギリシャ哲学の命題の一つとして探求され、元素論として結実した。元素論の考えによれば、物質は元素の性質から派生するものであり、物質の違いとは性質の違いに他ならない。中世の錬金術も物質の成り立ちの探求よりは性質の変化にその探求の目が向けられていた。ドルトン以降の物質の分子説に基づく近代化学においても、学問の目的として物質の種類の変化、すなわち性質の変化を指標として探求された。それゆえ、物質の種類の変化を化学変化と今日でも呼び表わす。化学変化は定義により化学反応を伴っているので化学変化することを意味する化合するという語は化学反応と同義である。

次に化学変化の例を挙げる。

  • 化合 - 化学変化により複数の物質から、別の物質が生成する過程。
  • 分解 - 化学変化によりある物質から、複数の物質が生成する過程。
  • 酸化
  • 還元

例えば、鉄と硫黄を混ぜ合わせて加熱すると、化学変化をおこして硫化鉄になる。硫化鉄は、もともとの鉄や硫黄とは全く違う性質を持った別の物質であり、冷やしたりするだけでは元に戻すことができない。

一方、物理学も17世紀までは物体の運動を扱う力学を中心としたものであった。17世紀後半になるとフーリエの熱の研究を初めとして、物の性質の根源が物理学の研究対象となり18世紀から19世紀の物理学は物の性質である物性の探求が一大目標であった。それゆえ、物性変化は物理変化とも呼ばれる。このように研究の歴史的変遷により、今日の物質の性質を研究する学問は化学と物理学の双方で扱われ、特に物性について取り扱う研究分野としては無機化学、物理化学、固体物理学が挙げられる。

そして、物性として普遍的な三態(固態・液態・気態)すなわち、物質がまわりの温度や圧力によって平衡的相転移する物性変化は、特に状態変化とも呼ばれる。次に個々の状態変化を挙げる

  • 固体から液体への変化 融解 - 物性値:融点、凝固点
  • 固体から気体への変化 昇華・気化
  • 液体から固体への変化 凝固・固化
  • 液体から気体への変化 蒸発・気化 - 物性値:沸点
  • 気体から固体への変化 凝固・昇華
  • 気体から液体への変化 凝縮・液化・凝結・結露

例えば、水は温度によって氷・水・水蒸気と状態変化する。しかし氷も温めれば水に戻るように、状態変化によって物質の種類が変わってしまうことはない。


ここまでのまとめ:
decomposition:融解(melting)は固体から液体への変化のみを指すため、「分解」の訳語が適切と思われる。
recombination:「再化合」の訳語が適切と思われる。


  • 3. フラックスエピタキシー法による単結晶薄膜の実現

酸化物はその組成と構造の複雑さから、一般に融点を持つ一致溶融型と高温で不可逆に分解してしまう分解溶融型に大別されます。気相薄膜成長の場合でも、分解溶融型の化合物の薄膜化では、バルク相図に見られるような分解とそれに伴う異相の析出が問題となる可能性があります。このことは、逆にバルク単結晶の育成で用いるフラックスを薄膜作製時に添加すれば、薄膜の相制御や高品質化が可能であることも意味しています。このアイデアを薄膜作製に適用したのが、“フラックス気相エピタキシー法"です。本手法により、広い範囲で一切の転位、粒界などの欠陥構造が観察されない、薄膜表面が原子レベルで超平坦な高温超伝導NdBa2Cu3Ox 単結晶薄膜の作製に成功しました(図)。他にも強誘電体でよく知られるBi4Ti3O12(BIT)についても単結晶、かつ基板からのストレインが完全に緩和したフリースタンディング的な薄膜を得ることに成功しました。ストレインは強誘電性に大きく影響するため、フリースタンディング的なBIT薄膜の特性が注目されています。